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掌せき膿疱症

掌せき膿疱症

手のひらや足の裏に無菌性(感染性でないのですが)の白い膿(ウミ)のような丘疹ができる皮膚炎です。
特徴的な所見は、ダーモスコピー(拡大鏡)で皮膚の丘の部分に小水疱が見られてその水疱の中に膿疱が認められることです。
時間の経過を追っていうと、初期には皮膚の丘の部分に小水疱がみられ、その水疱部は手のひらの角層が剥がれた後はクレーターのような凹みとして見られます。
中期には水疱の中に白い膿疱がみられ、これが認められればほぼこの疾患と確定できます。
膿疱が少しずつ茶色く濁りカサブタになってカサカサ皮が剥けてくるとともに紅斑が出て炎症が起こってきます。それと共にまた新しい膿疱が出てくるのが特徴です。皮膚だけでなく時に爪にも肥厚・凹凸などの変化をもたらします。

原因は未だ全てはわかっていませんが、精神的なストレスや慢性疲労、睡眠障害、免疫異常、ビタミン不足、細菌感染などその方その方それぞれの”ストレス”が体内に蓄積されて最も汗腺の多い手のひらや足の裏に溜まって出てしまうと考えられています。また最近の研究で、水疱は皮膚の表皮の中にある汗管で形成されていることが判明し、エクリン汗線が関与していることが分かってきました。またニコチンレセプターの関与もわかり喫煙が増悪因子になりうることが分かっています。

治療としては
1。痒みにより掻破するのを予防すること。
痒みでひっかいたり皮を剥いたりすることで、角質にある好中球を刺激するケモカインが刺激を受けて皮膚症状が悪化するため、痒みが強い場合は内服薬を併用します。
2。保湿剤やウレパールなどの尿素軟膏を頻回に外用することにより皮剥けをコントロールすること。
3。皮膚の症状により適宜ビタミンD軟膏とステロイド外用を使い分けること。
マイザーやアンテベートなどランクの少し強めのステロイド剤とオキサロール軟膏というビタミンDの外用薬を組み合わせて外用してもらいます。
ビタミンDの薬は好中球に関与するサイトカインや炎症性サイトカインの産生を抑制し、臨床的には膿疱を消退させるのに有効です。
ステロイドは痒みが強い紅斑には炎症をおさえるために有効ですが、漫然と使い続けることにより皮膚が薄く萎縮してかえって痛みが出てきますのでずっと使い続けないようにします。

4。内服薬では、
ビオチン散、ビタミンC剤、ルリッドなどのマクロライド系抗生剤(風邪の後に皮膚症状が出る場合や感染源が疑われる場合)、やや症状が強い場合はチガソンなどを内服
します。

原因を検索しながらこのような対症療法を継続していけば炎症の症状を消退させるまでは1年程度、その後に角質が正常に戻るまで1年くらい、全体では2~3年で多くの患者さんが落ちついてくることが多いようです。

投稿日:2011年3月1日

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