乾癬

尋常性乾せん(乾癬)の病態と治療について


表皮の角化細胞は約1ヶ月の周期で角化して脱落していく”新陳代謝”を繰り返していますが、乾せん(乾癬)の方の角化細胞は何らかの刺激によって活性化されたリンパ球により刺激されて、新陳代謝のサイクルが4~7日と短くなり、皮膚が角化して剥がれやすくなっています。乾せん(乾癬)病変部位の表皮細胞の増殖は正常皮膚の30倍といわれています。
最近の研究では、T細胞(Th17細胞)から出るインターロイキン17,22が角化細胞を増殖させ、またその増殖した角化細胞から産生される抗菌タンパクによりTh17細胞が活性化されてしまうという悪循環が起きてしまい、乾せん(乾癬)の病態を生み出してしまうことが分かっています。
部位としては頭皮・肘・膝・腰など骨の出っ張った当たりやすい場所にできます。かさぶたを剥がしたりするとそれが刺激となりまた麟せつ(カサブタ)が出来やすくなりますので厳禁です。
悪化因子として、風邪や扁桃炎などの感染症など、虫歯や歯周病、そして欧米化された脂肪の多い食事や肥満・ストレスなどが挙げられますのでこれらを出来る範囲で避ける事が大切です。
塗り薬による治療

軽度~中等度の場合、厚くなった角質を薄くする効果のあるビタミンD外用薬(ドボネックス軟膏やオキサロール軟膏など)を中心に、症状の強い部位は炎症を抑えるステロイドの塗り薬を併用する事が一般的です。
ステロイド外用薬は痒みにも有効であり、即効性もありますが、長く外用すると皮膚の萎縮が生じるため、長い治療期間となる乾せん(乾癬)の場合はステロイド外用薬のみに頼らないようにする必要があります。最近ではウィークエンドセラピーといって、平日はビタミンDの塗り薬を、土日はステロイドの外用を使いながら、ステロイドの外用量を減らしていく方法も提唱されています。また、ビタミンDとステロイドの塗り薬を混合すると吸収率が変化してしまうため、別々に外用するか、塗る間際に混合して塗ることが大切です。
ビタミンDの塗り薬はステロイドと違って、皮膚の萎縮や毛細血管の拡張や感染症の誘発が起きることもなく、抗菌タンパクを誘導する効果があり感染症を予防する効果もあるのが利点ですが、ステロイドに比べて効果がみられるまでの時間が長くかかります。(その代わりに症状を抑えている時間は長くなります。)

飲み薬による治療

乾せん(乾癬)の皮膚症状が広範囲に及ぶ場合や、手の爪変化や頭皮の皮膚症状が治りにくい場合、また一番強いステロイドの塗り薬を長期間使用した場合などに外用薬だけに頼らずに飲み薬も併用する場合があります。
飲み薬の代表的なものは、ネオーラルとチガソンです。
チガソンはビタミンAの一種で厚くなる角質細胞を薄くする効果があり、乾せん(乾癬)の皮膚症状に有効ですが、ますが、催奇形性があるため子供を考えている若い男性・女性には内服できません。また量が増えると唇や指先の皮が剥けてくる副作用もでてくることがあります。
ネオーラルは免疫抑制剤の1種ですが、乾せん(乾癬)の病態において、活性化したT細胞からサイトカインが作られるのを抑制する効果があります。以前は体重1kgあたり一日5mgの量からスタートする事が一般的ですが、副作用として血圧上昇や腎機能障害が生じることがある薬であるため低容量の体重1kgあたり2~2.5mgの一日一回朝食前内服からスタートして、症状が軽快してきたら徐々に減量していきます。ネオーラルは薬価が高く、たとえば体重60kgの方がネオーラル150mgを内服した場合一日あたりの薬代は3割負担の方で453円、2週間で6300円ほどになります。ただ、症状が軽快して内服量が減っていけば負担も当然低くなります。最近は病変の面積のみでなく乾せん(乾癬)の患者さんのQOL(生活の質)を重視した治療を行うようになってきています。そのためには副作用が少なくかつ効果的な治療法をその方その方に合わせて順次考えていく必要があります。

乾せん(乾癬)の予後

乾せん(乾癬)の症状は良くなったり悪くなったりを繰り返すことがあり、完全に治す治療法は現在のところありません。ですが、アメリカのデータでは経過中に完全に皮疹が消退した方が患者さん全体の40%にあたり、決して治らない病気ではなく、根気よく治療を続ける事によって症状がほとんど出ない状態を長く保つことができる方が大勢います。諦めずに治療を続けて生活の質を落とさないような状態になっていただくために情報提供・治療を行っていきたいと思います。

カテゴリ:乾癬, 皮膚科

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