アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の塗り薬:まずはステロイド外用について


日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドラインが2008年に改定され、皮膚科医のなかではアトピー性皮膚炎の外用に関してはエビデンスに基付いて保湿剤・ステロイド・プロトピック軟膏(タクロリムス)を症状に合わせて治療に用いる事が当たり前になってきました。とはいっても、ステロイド、というと副作用だけイメージされる方や、免疫抑制剤(プロトピック軟膏)と聞いただけで不安を感じる方が多いという事実も皮膚科医は日々感じています。アトピー性皮膚炎は長期にわたって保湿剤を含めた塗り薬を使用することが多くなるため、外用薬の副作用が気になり不安になるのは当然といえば当然と思われます。
患者さんの理性に訴え、正しい判断をしていただくために、皮膚科医は最新、かつエビデンスに基付いた情報や知識を提供しながら診療していきたいと思っています。詳細な外用療法(塗り方、塗る量、塗る場所、塗る期間)を診察中に指導しながら、経過を良くなった時にも診せていただき適宜塗り薬の種類や塗り方をアドバイスさせていただければと思います。

1.ステロイド外用療法について

・1995~2002年頃にかけて海外で行われた実験でも、中~長期に外用した場合の安全性(適切な強さのものを適切な量用いた場合)はほぼ確立されています。(うちひとつにおいて8%に皮膚萎縮を認めるもその後軽快しています。)

・全年齢において、体重10kgあたり月間15g未満、という一つの目安があり、通常の皮膚状態ではこの量を超えないように注意します。(50kgの大人では毎月75g未満、小さなステロイドのチューブが15本未満、日に換算すると2.5g、毎日あたり小さなチューブの半分の量を炎症部のみ外用する、ということになります。)
短期間では実際皮膚炎症部分が広いとこれ以上の量が必要になることがありますが、ステロイドは塗る量が減ると局所的な副作用も減ることが分かっているため、可能な範囲で減量していく必要があります。

・減量方法
ステロイドを毎日2回適切に塗って症状を抑えたあとは週2~3回外用することによって皮膚状態を維持することができます。ステロイドを塗らない日は保湿剤を外用します。炎症が残る場合は、保湿剤を広めにぬって炎症部にはスポット的にステロイドを外用します。ステロイドは炎症部位だけでなくて、正常皮膚からも吸収されてしまうため(比較として、プロトピック軟膏は全体に塗ってしまったとしても正常部位からは吸収されません)、スポット的に塗ったほうがよいのです。
ではどのような部位に塗ればよいかというと、紅斑(赤くなった皮膚)・丘疹(ブツっとしたりザラザラ感が強い皮膚)・苔癬化(たいせんか・炎症が長引いて盛り上がって硬くなった皮膚)に朝、入浴後に2回外用します。
炎症が中等度に下がったら2回でなく1回入浴後に塗るだけで充分です。(中等度以下であれば1日1回と2回では有意差がないことが分かっています。)

・適切な塗る量
1FTU(funger tip unit)といって、大人の人差し指の先端の関節部に約2cmほどチューブをだした量(0.5g)で、大人の手のひら2枚分の広さにぬる量が適量です。例えば大人の両腕全体にぬると4g(8FTU)3~5才の子供の両腕全体ではその半分の2g(4FTU)という量になります。現実的には腕全体が炎症で赤いことは稀であると思いますので、実際のステロイド使用量はそれよりも少なくなると思われます。

・身体の部位による適切なステロイドの強さ
腕にステロイドを塗ったときの吸収率を1とすると、顔のほっぺたでは13倍、首では6倍、わきでは3.6倍、陰部では42倍もの吸収率になります。このことから考えても、顔・首・脇・陰部では弱いランクのステロイド(アルメタ、ロコイド、キンダベートなど)を少量使用するべきでしょう。顔・首などはプロトピック軟膏も効果的ですので長期にわたる場合はプロトピックへと切り替えていくとよいでしょう。

・ステロイドのランク、強さについて
現在5段階(実際使用するものとしては4段階)に分かれてはいますが、ステロイドの抗炎症作用の指標とされる血管収縮度だけで決定されたものでなく、リンデロンV軟膏とロコイド軟膏を標準にしていくつかの臨床試験を考慮しながら専門家の多くが集まって決定されたものであって、完璧な段階分けというのは不可能なのです。アトピー性皮膚炎の患者さんへ処方するステロイド薬やその保湿剤との混合方法に関しては、自分の今までの臨床経験や知識に基付いて皮膚科医個人個人が考えていかなくてはいけません。

カテゴリ:アトピー性皮膚炎, 皮膚科

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